【医師監修】花粉症とは?花粉シーズンをラクに過ごすための秘訣!

更新日:2025.09.25

花粉の症状を悪化させないためには、花粉を避けることが第一です。また自分に合ったお薬を使って、花粉症の症状を緩和させることも生活の質を維持するために大切です。この記事では、花粉を避けるためのコツから上手なお薬の選び方まで、花粉シーズンをラクに過ごすための秘訣をお伝えします。

目次

花粉シーズンをラクに過ごすための秘訣

まずは花粉を避けることが大事

ハウスダストってなに?

花粉症の対策で最も有効な方法は、花粉にできるだけ接触しないということです。

 

外出時には帽子、マスク、眼鏡などをし、花粉を吸いこまないようにしましょう。また、花粉が付着しやすい毛羽立った毛織物などのコートを着るのは避けましょう。

ハウスダストってなに?

 

花粉飛散は13時〜15時頃が多い傾向がありますので、その時間帯の外出を避けることも効果的です。

帰宅時には衣服や髪についた花粉を玄関の外で払ってから家に入り、手洗い・うがい・洗顔をし、鼻をかみ、外でついた花粉を一掃しましょう。

花粉症のお薬の上手な使い方

ハウスダストってなに?

花粉症の鼻症状に効果的なお薬は、「内服薬(飲み薬)」と「点鼻薬」があります。

 

どちらかというと鼻水がつらい場合には内服薬、鼻づまりがつらい場合には点鼻薬が効果的です。

 

また内服薬と点鼻薬の中にも配合成分によって種類があり、使い続けることで症状が出にくくなるお薬もあれば、効果は一時的ですが速効性があるお薬もあります。そのため、「花粉シーズンを通して症状を抑えたい」「出てしまった症状をすぐに抑えたい」といった状況に合わせて適切な薬を使い分けることが重要です。

点鼻薬(血管収縮タイプ)点鼻薬(ステロイドタイプ)

毎年花粉に悩まされるので、シーズンを通して症状をしっかり抑えたい方

ハウスダストってなに?

そんな方には、アレルギー症状の発生段階にはたらきかけることで、使い続けることにより症状の発生が抑えられるお薬がおすすめです。

 

鼻水が鼻づまりよりもつらい方

飲み薬で対応したい方

第2世代抗ヒスタミン薬(内服薬)がおすすめ

 

鼻づまりが鼻水よりもつらい方

鼻水、鼻づまり、くしゃみの3症状すべてがつらい方

眠くならない花粉症対策がしたい方

ステロイド点鼻薬がおすすめ

一時的にでもつらい症状を今すぐ抑えたい方

ハウスダストってなに?

そんな方には、効果は一時的ですが速効性がある成分を含むお薬がおすすめです。

 

鼻水をしっかり抑えたい方 

鼻炎用配合剤(第1世代抗ヒスタミン成分を含む内服薬)がおすすめ

 

鼻づまりをすぐに改善したい

鼻づまりがつらく寝苦しい方

血管収縮成分配合の点鼻薬がおすすめ

 

お薬のそれぞれのはたらきについて詳しくは次に解説します。

花粉症のお薬の違いとは?

花粉症のお薬の特長

それぞれのお薬の具体的な成分名や特長について解説します

 

第2世代抗ヒスタミン薬(内服薬)

ハウスダストってなに?
  • 抗ヒスタミン作用(鼻炎症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑える)に抗アレルギー作用(アレルギー症状の発生を抑える)を併せ持ちます
  • 比較的速効性はあるものの、十分な効果を得るには使い続けることが大切ですので、花粉飛散シーズン初期の症状が軽い時期からの使用が効果的です
  • 眠気などの副作用が第1世代抗ヒスタミン薬に比べて少ないとされています
  • 2世代抗ヒスタミン成分に血管収縮成分を配合した配合剤もあり、鼻水に加え鼻づまりもつらい方に効果的です(※服用は鼻づまり症状が強い期間のみの最小限の期間にとどめます)

代表的な成分

セチリジン塩酸塩、フェキソフェナジン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エバスチン、ロラタジン、メキタジン

ステロイド点鼻薬

ハウスダストってなに?
  • 花粉によるアレルギー反応の元を抑えるため、継続的に使用すると効果が高まり症状が出にくくなります
  • 花粉飛散シーズン中継続使用できます※
  • 鼻づまりだけでなく鼻水・くしゃみにも等しく効果を発揮します
  • 眠くなる成分が入っていません
  • 効果発現が比較的早い(約1~2日)とされています

※ 市販のステロイド点鼻薬は、1年間で使用期間が定められているものがあります。

添付文書をよく読み、用法用量を守って使用しましょう。

代表的な成分

ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル

花粉飛散が多い時に、鼻づまり・鼻水などがつらいという方は、「ステロイド点鼻薬」を「内服薬」に合わせて使う場合もあります。 

症状がつらい時は、一度病院を受診されることをおすすめします。

 

鼻炎用配合剤(第1世代抗ヒスタミン成分を含む内服薬)

  • 1世代抗ヒスタミン成分が、鼻炎症状を引き起こすヒスタミンの働きを抑え、鼻水、くしゃみ、鼻づまりを改善します。
  • 抗コリン成分や血管収縮成分などが配合されていることが多く、鼻水・鼻づまりをしっかり抑えられます。
  • 眠気や口の渇きなどの副作用は第2世代抗ヒスタミン薬に比べ現れやすいため、車や機械類の運転操作をする際はお使いいただけません。

代表的な第1世代抗ヒスタミン成分

ロルフェニラミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩

代表的な抗コリン成分

ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ダツラエキス

代表的な血管収縮成分

プソイドエフェドリン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩

血管収縮成分配合の点鼻薬

  • 広がった鼻粘膜の血管を収縮することで、鼻づまりを解消します
  • 速効性がありますが作用は一時的です
  • 長期連用はせず、症状がつらい時だけの使用が基本となります(長期連用するとかえって鼻づまりが悪化することがあります)
  • 血管収縮成分に加え、鼻水やくしゃみに効く成分を配合したものもあります

代表的な血管収縮成分

ナファゾリン塩酸塩、オキシメタゾリン塩酸塩、テトラヒドロゾリン塩酸塩

眠くならない花粉症対策がしたいときのお薬の選び方

ハウスダストってなに?

「ステロイド点鼻薬」または「第2世代抗ヒスタミン薬(内服薬)」がおすすめです。

「ステロイド点鼻薬」は、眠くなる成分が入っていませんので、眠気を引き起こす心配がなく、お仕事中や運転をされる方でもお使いいただけます。

「抗ヒスタミン成分」の中でも、「第2世代抗ヒスタミン成分」は、脳への移行が少なく、比較的眠気が起きにくい成分ですが、体質によっては眠気があらわれることがあります。

病院でできる花粉症治療にはどんなものがある?

ハウスダストってなに?

病院では市販薬にはない内服薬(飲み薬)や点鼻薬に加えて、鼻のレーザー治療や、根本的に花粉症を治療するアレルゲン免疫療法も行うことができます。

症状の重い方は一度病院を受診し医師にご相談されることをおすすめします。

こんなときの鼻症状にはどう対処する?

鼻水・鼻づまり・くしゃみの原因となるものは花粉だけではありません。春や秋といった季節を問わずあらわれる鼻炎は以下のような疾患かもしれません。

 

ハウスダストによる鼻アレルギー(通年性アレルギー性鼻炎)

ハウスダストとは?

ハウスダストは予防できる!自宅での対策法

掃除のときにくしゃみや鼻水が出たり、犬や猫を飼っているお家を訪問して、鼻水が止まらなくなったりしたことはありませんか?

 

それはハウスダストと呼ばれる、室内のゴミやほこりによるアレルギー症状かもしれません。ハウスダストにはダニやゴキブリのフン・死骸、ペットの毛・フケ、カビなど様々な物質が混ざっており、これら1つ1つがアレルギー反応の原因になることがあります。

 

季節を問わず1年中起こる鼻アレルギーは、「通年性アレルギー性鼻炎」と呼ばれ、ハウスダストが主な原因とされています。生活様式の変化や温暖化の影響でダニが増加し、通年性アレルギー性鼻炎の方は増加しています。また、スギ花粉症の方はダニにもアレルギー反応を起こしやすい傾向があるため、花粉症の方は特に注意が必要です。

どのように対処する?

ハウスダストは予防できる!自宅での対策法

まずは、掃除や洗濯、部屋の換気で原因となる物質を少なくすることが重要です。

 

床の掃除は、掃除機をゆっくりと動かし、換気しながら週に2回以上行いましょう。また、シーツ類や毛布類はこまめに洗濯し、洗濯できない布団は天日干しや布団乾燥機で乾燥させたり、掃除機でほこりを吸い取ったりすると効果的です。

 

また、ダニは温度・湿度が高いところで繁殖するため、定期的に窓を開け換気することも効果的です。

 

症状がつらいときは、市販のお薬での対処も可能です。

特に鼻水がつらいときには鼻炎用内服薬が効果的です。持続的に症状を抑えたい場合は、継続的な使用でアレルギー症状の発生も抑えることができる第2世代抗ヒスタミン薬、一時的にでもつらい症状を抑えたい場合は、鼻炎用配合剤(第1世代抗ヒスタミン成分を含む内服薬)がおすすめです。

 

鼻づまりをすぐ改善したいときには、血管収縮成分配合の点鼻薬が効果的ですが、長期連用はできないお薬ですので、1~2週間に限っての使用にとどめる必要があります。

かぜによる鼻症状(急性鼻炎・副鼻腔炎)

ハウスダストは予防できる!自宅での対策法

かぜのときにみられる鼻水・鼻づまりはウイルスや細菌を原因とするもので、「急性鼻炎(鼻かぜ)」や「副鼻腔炎」があります。「急性鼻炎」はかぜの引きはじめに起こり、透明で水っぽい鼻水から、やがてどろどろした黄色・緑色の鼻水に変化します。

 

「副鼻腔炎」は急性鼻炎に引き続いて起こることが多く、炎症が鼻腔から副鼻腔まで広がった状態をいいます。ねばねばした黄色・緑色の鼻水に加え、鼻づまりがひどくなったり、副鼻腔が近い目や頬に痛みや圧迫感を生じたり、頭痛を伴うこともあります。

 

鼻症状が中心で、熱やのどの痛み、咳などが軽い場合は、市販の鼻炎薬での対処も可能です。

 

特に鼻水がつらいときには、鼻炎用配合剤(第1世代抗ヒスタミン成分を含む内服薬)が効果的です。また、鼻づまりをすぐに改善したい方は、速効性のある血管収縮成分配合の点鼻薬が効果的です。

 

細菌性の副鼻腔炎の場合は、抗菌薬での治療が中心となるため、病院への受診をおすすめします。

 

大久保公裕先生

医師監修  大久保公裕先生

日本医科大学 名誉教授

1984年 日本医科大学卒業 
1988年 同耳鼻咽喉科卒業 
1989年~1991年 アメリカ国立衛生研究所(NIH)留学 
2000年 日本医科大学 耳鼻咽喉科 准教授 
2010年 日本医科大学耳鼻咽喉科 教授 
2025年 日本医科大学 名誉教授

ここまでの内容は、日本医科大学 名誉教授 大久保公裕先生に監修いただきました。

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