「花粉症と言えば春」というイメージが大きいかもしれませんが、最近は秋の花粉症にも注目が集まっていることをご存知ですか? 今回は、秋の花粉症の原因として代表的な「ブタクサ」についてお伝えします。夏の終わりから秋にかけて鼻水やくしゃみが止まらない人は、ぜひ参考にしてください。
目次
日本で一番古い花粉症!「ブタクサ花粉症」とは
厚生労働省のデータによると、じつは日本で最初に報告された花粉症はブタクサだったとのこと! スギよりも早いとは驚きです。
ブタクサはキク科の一年草で、明治初期にアメリカから渡ってきた外来雑草です。本州、四国、九州が主な生息エリアで、茎の高さは30~150cm程度。風によって花粉が運ばれますが、スギやヒノキのような木の花粉ではなく草の花粉なので、そこまで遠くには飛散しません。
そのかわり、道端や畑、河川敷など私たちの身近な場所に生息しているため、知らず知らずのうちに近寄ってしまい、花粉を吸いこんでしまうケースが多発しています。また、茎の高さから、背が小さい子どもが花粉を吸い込みやすい点も注意が必要です。
花粉の飛散時期はエリアによって異なりますが、主な目安としては夏の終わりから秋にかけて(8月~10月)です。ブタクサによく似た「オオブタクサ」も、同様に花粉を持ち、秋の花粉症のひとつとされています。
ブタクサ花粉症の主な症状
ブタクサ花粉症は、基本的に春の花粉と同様で
くしゃみ・鼻水・鼻づまり
が3大症状です。
そのほかには、「目のかゆみ・充血」なども見られますが、特徴的なのは、
- 咳
- 喘息
などの気管支症状を起こしやすい点。というのも、ブタクサは花粉のサイズが小さいからです。スギやヒノキが直径約30µmであることに対して、ブタクサの花粉は直径約20µm、場合によっては、スギやヒノキの半分程度の大きさであることも。
そのため、本来であれば鼻毛などに引っかかって鼻の粘膜にとどまるはずの花粉が、サイズが小さいためすり抜けて気管支にまで入り込んでしまい、咳や喘息、また喉のイガイガ感などを引き起こします。もともと喘息持ちの方は、症状を悪化させることもあるため特に気をつけましょう。
夏の終わりから秋にかけての季節の変わり目に症状が出ることから、かぜと間違えやすいのも特徴です。高い熱もなく咳などの症状が長期間続く場合は、ブタクサ花粉症を疑ってもいいかもしれません。
ブタクサ花粉症の予防法
ブタクサ花粉症の対策として一番は、「ブタクサに近づかないこと」。当たり前のように思えるかもしれませんが、スギやヒノキなど春の花粉のように飛散距離がそれほどないため、どこか遠くから飛んできた花粉よりも避けやすいと言えます。ブタクサが生息している場所をできるだけ避けること。河川敷や道端などにも生息しているので、うっかり近づかないように気をつけましょう。
花粉が体内に入り込まないように防衛することも重要です。外出時はマスク、花粉症用メガネ(ゴーグル)の装着を。ブタクサは花粉の粒子が小さいため、マスクを選ぶときはできるだけ細かな粒子までカットできるものを選んだり、マスクの内側につけるインナーマスクなども併用したりすると良いでしょう。
帰宅したら、花粉を家の中に入れない対策も忘れずに。玄関で洋服や持ち物をしっかり払う、手洗い、うがい、洗顔をする、空気清浄機を稼働させる、掃除機をこまめにかけるなどを心がけましょう。
また、ブタクサに限らずですが、刺激物を多く摂ることで、鼻の粘膜を刺激してしまい、花粉症の症状を悪化させる可能性も。特に花粉が飛んでいる時期は鼻の粘膜が敏感になっているため、香辛料が多く含まれる刺激物は避けたほうが安心です。
症状が酷いときは、市販の点鼻薬や内服薬をうまく利用しましょう。また、アレルギー検査をして自分が何の花粉に反応するかを調べておくこともおすすめです。気になることがあれば、早めに医師に相談してくださいね。過ごしやすい気候の秋、花粉に悩まされず快適に過ごせますように。
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